ソーシャルレンディングを投資の対象として検討している人にとって、ソーシャルレンディングの利回りがどのくらいか把握することは大切なことです。
株式や債券投資などと比較する利回りは高いのか低いのか、ソーシャルレンディング業者ごとの利回りはどの程度なのかといったことが気になっていることでしょう。
結論からいえば、ソーシャルレンディングの想定利回りはおおよそ4.50%前後が一般的です。
株式投資との比較は難しいですが、債券投資と比べるとソーシャルレンディングのほうが一般的に利回りは高いと言え、ハイリスク・ハイリターンです。
この記事では、ソーシャルレンディングの利回りがどの程度なのかを紹介したうえで、実利回りが変動する要素、他の資産運用手段と比べた利回りなどを解説します。
多くの投資対象の中で、ソーシャルレンディングがどのような位置づけにあるかわかるため、ぜひ投資をするにあたって参考にしてください。
ソーシャルレンディングについて
まず、ソーシャルレンディングとは何かを簡単に解説します。
ソーシャルレンディングとは、インターネット上でファンドを通じて会社にお金を貸す仕組みです。
サービスにより若干の違いはありますが、おおむね以下のような流れとなります。
ソーシャルレンディングの流れ
- 投資家とサービス事業者が匿名組合契約を締結する
- 投資家はサービス事業者が組成したファンドに出資する
- ファンドは借り手企業と金銭消費貸借契約を締結する
- 借り手企業からファンドに元本と利息が返済される
- ファンドが営業者報酬を控除して投資家に利益を分配する
お金を貸すという点では債券投資と共通していますが、債券を発行している企業よりもリスクが高い点や、運用期間中は値動きがない点、途中売却ができない点などが異なります。
ソーシャルレンディングの利回りはどのくらい?
ソーシャルレンディングの利回りは、借り手企業が返済する利息(金利)から営業者報酬(報酬率)を控除して求めることができます。
仮に、年利5.00%で1,000万円を貸付けるときでも、営業者報酬率(ファンドの手数料)が2.00%であれば投資家利回りは3.00%です。
この投資家利回りは、ファンドによってばらつきはあるものの、一般的に4.50%前後といえるでしょう。
ソーシャルレンディングの実利回りが変動する要素
ソーシャルレンディング業者の公式サイトには「想定利回り」が記載されていますが、これらはあくまでも参考です。
実際に投資した場合の実利回りは状況によって変動することを押さえておかなければなりません。
一般に、実利回りは、以下の式のように想定利回りに対して手数料や諸費用、税金などを控除したものです。
会社員の給与に例えると額面給与(年収)と手取りの関係といえます。
つまり、見かけ(想定利回り)より実際の利益(実利回り)は少なくなってしまうのです。
約束どおりに借り手が返済しなかった場合は実利回りが下がってしまうおそれがありますが、この記事では、約束どおりに返済された場合に実利回りが変動する要素について紹介します。
貸付利率
ソーシャルレンディングは主にお金を貸して利息収入を得ることを目的としているため、貸付利率が利回りの大半を構成する要素です。
なお、貸付利率とはお金を借りている額に対して発生する利息の割合をいい、金銭消費貸借契約で定めます。通常は1年間に発生する利息の割合で表現するため、「年利(率)」です。
例えば、貸付利率が年利5.00%で100万円借りると、1年後には105万円返済しなければなりません。利息は1日ごとに発生(日割り計算)するのが原則です。
当然、お金を借りる側としては低いほうが好ましく、貸す側としては高いほうが好ましいです。
営業者報酬
営業者報酬は、実際にお金を貸す業務を行う営業者の取り分です。
投資家はソーシャルレンディング業者と匿名組合契約を締結します。
匿名組合契約とは、営業者が行う営業のために出資し、その営業利益の分配を請求できるという契約です。
投資家としては、資産を運用してもらうための手数料と考えることができます。当然、手数料は低いほうが望ましいですが、ファンドの状況によって変動するため比較や予測は困難です。
振込手数料
大手証券会社なら多くの銀行と提携しており、投資家から入金する際の手数料は証券会社が負担しています。
一方、ソーシャルレンディング業者の多くは投資家の入金手数料は負担しておらず、指定口座へ入金する際の振込手数料は投資家が負担しなければなりません。
出金時の振込手数料についてはソーシャルレンディング業者が負担してくれることが多いですが、月1回までなら無料などの取扱いがあります。
重要事項説明書などで事前に確認しておきましょう。
所得税の税率
ソーシャルレンディングの分配金は税法上「雑所得」とされ、分配利益に対して20.42%の源泉徴収税が差し引かれます。
なお、源泉徴収は「仮の税金」を前払いするものです。
「本来の税金」はというと、大まかには1年間の儲けから所得控除を差し引いた額に累進税率(5~45%)を掛けて求めます。
そのため、所得控除がいくらか、他に課税される所得はあるのかなどによって本来の税率が変わります。
課税所得に対して実質20.42%の税率が課されるのは、少なくとも課税所得が1,181万円を超える人です。
課税所得が1,181万円を超える人はそう多くないため、多くの人は税金を納めすぎていることになります。
もっとも、1年間の所得が48万円以下であれば基礎控除48万円によって課税所得は0円です。
つまり税金が発生しないため、源泉徴収された税金は確定申告するとすべて戻ってきます。
ソーシャルレンディングと他の資産運用の利回り比較
ソーシャルレンディングの想定利回りは、ファンドによって異なりますが、およそ4.50%前後であることを紹介しました。
それでは、他の資産運用(投資)と比べるとどうでしょうか。
あくまで参考値ですが、それぞれの利回りは以下通りとなります。
資産運用ごとの利回り
- 国内債券 :0.70%
- 外国債券 :2.60%
- 国内株式 :5.60%
- 外国株式 :7.20%
算出方法は異なるため比較が難しい点はありますが、ソーシャルレンディングの期待リターン4.50%は、おおむね国内株式と同程度といえそうです。
もっとも、以上の金融商品は価格変動リスクがある点で、ソーシャルレンディングとは大きく異なります。
価格変動リスクを負わず4.50%程度のリターンを狙えるソーシャルレンディングは、非常に投資効率の高い投資商品といえるでしょう。
おすすめのソーシャルレンディング会社3選
ここでは、おすすめのソーシャルレンディング会社を3つ紹介します。
Funvest
ジャンル | 貸付型 |
最低投資額 | 10万円~ |
運営会社 | Fintertech株式会社 |
公式サイト | Funvest公式サイト |
Funvest(ファンベスト)は大和証券グループとクレディセゾングループが共同で運営する貸付型クラウドファンディングサービスであり、信頼性と安全性が高く、厳格な審査体制が整っています。
国内外の魅力的なファンドに投資できるため分散投資が可能であり、為替変動リスクを軽減するためのヘッジが設定されているファンドもあります。
運用期間は3ヵ月から12ヵ月と短期間で流動性が高く、Amazonギフトカードなどの特典が付いたファンドも提供されているため、投資の楽しみが増えます。
これらの特徴により、Funvestは安心して投資を始めることができるサービスです。
CAPIMA
ジャンル | 貸付型 |
最低投資額 | 1万円~ |
運営会社 | アバンダンティアキャピタル株式会社 |
公式サイト | CAPIMA公式サイト |
「CAPIMA(キャピマ)」は、2022年にサービスを開始した融資型クラウドファンディング事業者で、「投資の民主化」を掲げています。
この理念のもと、投資初心者から経験者まで公平に利用できる投資商品を提供し、利回り6~8%を目指す案件を主に取り扱っています。
運用期間は約1年程度が多く、これまでに15件の案件が無事償還されています。
CAPIMAの特徴の一つは、「特別優待案件」の提供です。
特定の金額以上を投資した場合、金銭リターンに加え、飲食店のクーポンや地域特産品などの優待を受け取れる仕組みを導入しています。
これにより、投資家と融資先の双方にメリットを提供し、Win-Winの関係を築いています。
オルタナバンク
ジャンル | 貸付型 |
最低投資額 | 1万円~ |
運営会社 | SAMURAI証券株式会社 |
公式サイト | オルタナバンク公式サイト |
オルタナバンクはSAMURAI証券株式会社が運営するクラウドファンディングサービスで、特に貸付型ファンドを中心に提供しています。
このサービスでは1万円という少額から投資が可能で、投資初心者でも始めやすいのが特徴です。
また、提供されるファンドは国内外の企業貸付、不動産担保ローン、社債購入資金ローンなど多岐にわたります。
オルタナバンクの大きな特徴は投資案件の選定基準が厳しく、元本償還率が高い実績を持つ点です。
2024年時点では貸倒れ実績がないとされており、安全性を重視する投資家に向いています。
さらに、利回りが6~8%と比較的高い案件が多く、分配金の安定性が魅力です。
まとめ
今回は、ソーシャルレンディングの利回りがどの程度なのかを紹介したうえで、実利回りが変動する要素、他の資産運用手段と比べた利回りなどを解説しました。
ソーシャルレンディングの期待リターン4.50%は、おおむね国内株式と同程度です。
一方で、国内株式に比べてリスクが低く、価格変動リスクを負わず4.50%程度のリターンを狙えるソーシャルレンディングは、非常に投資効率の高い投資商品といえるでしょう。
この記事が、みなさんのソーシャルレンディングをはじめるきっかけとなれば幸いです。
30代前半のIT企業営業男性がクラウドファンディングで投資を開始し、資産形成や将来の知識共有を目指します。